うるさいほどの静けさ

主に聴いた曲について書いていきます。B'zのレビューは休止。更新超不定期です。

未成年

評価:★★★★★

大人に入れてもらえない『未成年』の男の子。

初期歌詞ってどうしても「年上の女性に振り回される男」イメージが出てきてしまうんだけど、よく考えたらそんな歌詞の曲って『GIMME YOUR LOVE』しかなかった。

 

『LOVE IS DEAD』同様、名曲の法則であるジャズロックだ。

出だしから一気に引き倒し、リフも強烈。

ベースはエレキとリフをなぞる形。

このアルバム全体に言えることだが、シンセが随所で前面に出ているのが特徴だ。

ピアノから続くサビではリフとバスドラが絶妙に呼応し、インパクトが絶大である。

2番Bメロが終わり、徐々に静かになるサウンドをバックに、これまた控えめなギターソロ。スネアで一旦間を置いた後、ラストサビへ。

 

そして今曲の目玉は、アウトロでのピアノソロと言っても過言ではない。

ここまで見事なピアノソロはB'zの楽曲の中でも二つとないだろう。女性ボーカルとうまく絡ませ引き倒されるジャズピアノ。これがこの曲が私の中で好評価である所以であり、それほどまでに美しい。

ピアノソロ後に『GIMME YOUR LOVE』のリフのサンプリングが行われている。

 

歌詞は「大人の世界に入れてもらえない未成年」の話であり、『GIMME YOUR LOVE』同様「年上の女性」が登場する。

 

主人公は未成年であるが、年上の女性と付き合う中で大人の世界に入ってしまえたという誤解をしてしまう。

ある時、女性の主人公に対して見せた「優しい言葉」も潤んだ瞳も「何もかも嘘だった」 と知らされる。

結局主人公はからかわれていたのだ。「彼女と誰かの絆」を「認めたくなかった」主人公はそれでも大人ぶって「苦いコーヒーを飲み干」す素振りを見せるのだが。

彼女に「線を引かれ」「笑われ」てしまった主人公の心は冷めてしまい、元通りの青く(=若く)なっていく。

「死ぬまで賑わう 週末の交差点mm...

 僕はひとりはねられる」

この曲に限った話ではないが、この時期の稲葉の比喩のうまさには脱帽だ。

交差点を死ぬほど賑わう大人達(車)の中で一人になってしまった主人公は居ても立ってもいられなくなる。「はねられた」ぐらいの精神的ダメージを負う。

結局手を伸ばしてももう届かない。青い(若い)体はまた主人公を襲うこととなる。

 

歌詞のストーリー性からもサウンドからも文句なしの★5だ。