LOVE IS DEAD
評価:★★★★★
『The 7th Blues』の幕開けにふさわしいジャズロック。
B'zの曲でジャズロック風の曲といえば『ねがい』『黒い春青』等が挙げられる。B'zジャズロック名曲の法則。今曲もその例に漏れない。
導入の電話での会話部分では自分達のことを『Japanese rock'n roll band』と言い切ってしまっている。それまでの彼らからは想像も出来ない。
序盤早々に絶望の淵に投げ落とされた主人公が描かれている。
『LOVE IS DEAD』、「恋は死」。1曲目からインパクトのある名前だ。
女に振られ、深刻なダメージを被る主人公。
夜は眠れない。ニュースには見向きもしない。身内には呆れられる。ふらつく足取りでさまよう醜態を晒してもなお
「寒いまなざしで笑いたい者は笑え」
と開き直っている始末。
この歌詞には光など一切ない。
ここあるのは死んだ恋に打ちのめされ、まともに生きることも出来なくなった主人公の姿だけだ。
魂もすっかり抜けた亡霊。抜け殻。
「延々と繋がらない電話をかけまくる」とあるように(本当に繋がらない電話をかけまくったのかは別にして)まだ諦めきれていない。
その死んだ恋の呪文が解かなければ待っているのは
「すべてを失う日」のみ。
果たして主人公がこの後どのようになったか非常に気になる話である。
このアルバムに共通する事項として「絶望の淵にいる主人公」が描かれていることがある。このアルバムの他の曲と組み合わせて主人公の結末をあれこれ考えてみるのも面白いかもしれない。
アメリカンなロックにこんな女々しい男の失恋を描いてしまうとは。脱帽の域だ。
冒頭にも記述した通り、サウンド面においても暴れまくりのこのアルバムの幕開けにふさわしい。
出だしの不穏なキーボードから一気にブラスを含めたバンドが爆発し、ハードなジャズロックが構築されていく。
Bメロからサビへの爆発力を高めるのに十分な繋ぎ。
長めの間奏ではブラスをを前面に出し、その後でダークなサウンドに乗せたギターソロ。
そしてラストサビ前と後にある主人公の絶望を表すかのような稲葉氏のシャウト。
どこをとっても非の打ちどころがないジャジーなハードロックだ。
因みに『B'z The Best 'ULTRA Treasure'』にも収録されてあるので未聴の方は是非。一聴の価値がある曲。★5つ。